(容易な表現とするために一部法律用語とは異なっております)
- 22年度税制改正にご注意ください(1)
- 相続税法24条「定期年金権利評価」について
- 「定期年金権利評価」は従来節税目的で保険商品等が利用されてきました。評価額が、年金総額の20%~70%(残余期間による)など、低く抑えられていたからです。今般その取り扱いは下記のようになります。
- 1.過去に加入され、平成23年4月以降に相続または贈与された年金は、概ね解約返戻金相当で評価される。
- 2.平成22年4月以降に加入した年金保険は、平成23年3月以前の相続または贈与であっても上記の評価とされる。
- 3.よって、今年の3月31日までに加入した年金保険で、来年の3月末までに相続または贈与された場合は、現行の評価とされる。
- 同特例を活用して相続のシミュレーションをされている場合には、再検討をされる必要があります。
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- 22年度税制改正にご注意ください(2)
- 「小規模宅地等の評価減の特例」について
- 「小規模宅地等の評価減の特例」とは一定の要件を満たす被相続人等の事業用又は居住用の宅地等について所定の面積を限度として、80%または50%の割合で減額できるというものです。
- 自宅を建てる、賃貸アパート・マンションを建てる、などして、評価減をもくろむ、等の使われ方をしてきました。
- 今回の改正により、居住を継続しない相続人は対象から除外されることとされました。これにより、親の相続が発生した後、子が実家に居住しない様な場合では、この特例の適用がまったくなくなってしまいました。
- 同特例を活用して相続のシミュレーションをされている場合には、再検討をされる必要があります。
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- 相続対策と事業承継の違い
- 一般に相続対策とは、被相続人の資産の承継、相続人間の分割、相続税の低減、等を目的とします。一方、事業承継では、これらに加えて会社の後継者の選定、経営権の承継、そしてなによりもビジネス自体を如何に永続させるかという非常に難しい問題が加わってきます。逆に相続の発生時期は誰も正確な予想をすることはできませんが、事業承継のタイミング、いわば経営者のリタイアのタイミングは予め計画することができます。それだけに事前のプランニングが重要になってきます。
- 国を挙げての事業承継への取り組みの中で、事業承継円滑化法が平成20年10月より一部が施行され、また自社株納税猶予制度が21年度の税制改正で定められました。
- この2つの制度については、20年度の時点においては専門家の間でも、まだ現在でも一部には混同されている場合があるようです。
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- ◆事業承継円滑化法による民法特例
- 事業承継では、後継者が経営権を確実に確保することが重要になります。一方で法定相続、遺留分の規定を厳密に守ると、相続人間に自社株が分散してしまう懸念があります。本特例では、先代経営者から後継者への自社株式の生前贈与等について、事前に書面で合意することにより、
- 1.除外特例…遺留分算定の基礎財産に算入しない(遺留分減殺請求から外れる)、もしくは
- 2.固定特例…遺留分算定の基礎財産に算入するが、その評価価額は合意時点の価額とする
- ことを決めることができます。先代社長の生前、いわば目の黒いうちに決めてしまえる制度です。なお、本特例の適用のためには、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可が必要です。
- 制度としては有用な本特例ですが、このような場合に未上場の自社株をいくらと評価するのか?、については確立された制度はありません。後の相続発生時に、評価価額をめぐって紛争となることがないよう、専門家を介した根拠づけをしておくことが必要かと思います。